ARC(オーディオリターンチャンネル)とは?
テレビによってはHDMI端子の一部に「ARC」と表記されているのを見たことはありませんか?
メーカーサイトのスペック表にもHDMI端子数の横に括弧で「ARC対応」と表記されていることがあります。
この「ARC」とは何を表しているのでしょうか?そしてどのような時に使用するものなのか。
ということで今回は「ARC」が何者かを説明したいと思います。
※ここではARCの強化機能である「eARC」についても説明します。
記事の最後では、解説動画も掲載していますので、併せてご覧ください。
ARCとは何のこと?
いきなり結論から入ってしまいますが、ARCとは正式名称「Audio Return Channel(オーディオリターンチャンネル)」と呼びます。
直訳すると「音を返すチャンネル」になります。
ARCは、この直訳通りの機能を実現する規格です。
具体的には、テレビのARC対応HDMI端子は通常入力のみを受け付けます。
そこに映像の入力だけではなく音声出力ができる機能を追加した機能がARCになります。
ではどのような場合にARCが活躍するかを説明していきます。
ARC非対応テレビだと
レコーダーやプレイヤーとの接続が一番わかりやすいですね。
レコーダーまたはプレイヤーの出力HDMI端子に接続されたHDMIケーブルを、テレビ側の入力HDMI端子に接続することで、レコーダーが出力する映像をテレビ側で見ることが可能になります。
しかしここにシアターシステムやサウンドバーが入ってくると話が変わってきます。
通常シアターシステムやサウンドバーをレコーダーやテレビに接続する場合は以下のような構図になります。
この接続だとレコーダーからの音声はシアターシステムから出力されますが、
リアルタイムで見ているテレビ番組等の音声はシアターシステムやサウンドバーからは出力されません。
これは先ほど説明した通り、テレビ側のHDMI端子は「入力端子」な為、音声を出力することが出来ないからです。
先ほどの構成でリアルタイム視聴しているテレビ番組等の音声をシアターシステムから出力させるには、テレビ側の出力端子とシアターシステムの入力端子を別途光デジタルケーブルを使用して接続する必要があります。
ARC対応テレビとの接続の場合
しかしARC機能に対応したテレビを使用している場合は、以下の構成で接続することでリアルタイム視聴しているテレビ番組等の音声をシアターシステムから出力することが出来ます。
全ての接続がHDMIケーブルで完結することができます。
配線の本数も減り、接続もわかりやすくなりますね。
※この構成を実現するためにはARC対応シアターシステムとARC対応テレビ、ARC対応HDMIケーブルを使用して接続する必要があります。
使用している機器がARCに対応しているかどうかは取扱説明書を見て確認をお願いします。
また、各機器のHDMI端子にARCと記載があれば対応しています。(下図参照)
ARCの強化版【eARC】とは?
最近では従来のARCの機能強化版である【eARC】が登場しました。
eARCは「 Enhanced Audio Return Channel (エンハンスド オーディオ リターン チャンネル)」と言います。
Enhanced(エンハンスド)は、日本語で「強化された」という意味ですから、eARCは「強化されたARC」ということです。
強化された点は以下の通りです。及びDTS:Xに対応しました。
- Dolby社の立体音響技術 【Dolby Atomos】の伝送に対応
- DTS社の立体音響技術【DTS:X】の伝送に対応
- 最大32chのストリームに対応
Dolby AtomosやDTS:Xなどの立体音響技術は、今までのARC端子ではデータ量が多すぎて転送できませんでした。
しかしeARC端子では、HDMIでイーサネット伝送に使用するピンを使用し、音声情報を転送します。
さらに効率的に使用することが可能になり、立体音響の大容量データの伝送が可能になりました。
よってeARCをフルで活用する場合は、イーサネット伝送に対応したHDMIケーブルが必要になります。
これで対応した外付けサウンドバー等で立体音響を楽しむことが可能になります。
逆に言うと、立体音響に対応したサウンドバーを購入しても、テレビ側が端子がeARCでなければ、立体音響は使用できない点に注意してください。
まとめ
今回はARCについて説明してきましたが、せっかくシアターシステムやサウンドバーを使用するのであれば、レコーダーからの音声だけでなくテレビの音声も良い音で楽しみたいですよね。
光デジタルケーブルを接続する方法もありますが、HDMIケーブル一本で済む手軽さと明快さは、機械や配線が苦手な方にとっては助かるのではないでしょうか。
ARC解説動画(Youtube)
HDMIには他の機能もある
HDMIケーブルにはLANケーブルの機能を持たせたHEC(HDMI Ethernet Channel)という規格もあります。
詳しい解説は下記記事をご覧ください。
HDMIケーブルのバージョンについては以下の記事をご覧ください。
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コメント一覧
「ARC対応テレビだと」の図において、信号の流れを矢印付きで追記すると理解しやすくなる。
①レコーダー — 映像+音声 — > ②ARC対応シアターシステム
② — 映像+音声 — > ③ARC対応TV
③ — 音声 — > ②
③のコネクタ=HDMI(ARC対応) IN