HDMIケーブルの「バージョン」「認証」とは?
今ではレコーダーやチューナー、ゲーム機など様々な機器とテレビを接続するHDMIケーブル。
見た目上はただのケーブルに見えますが、実はHDMIケーブルには規格が細かくあり、バージョンによって伝送できる解像度やフレームレートが異なることをご存知ですか?
価格にひかれて安いケーブルを購入すると思っていた解像度の映像が出力できなかったり、そもぞも「映像をテレビに映すことができない」なんてことにもなります。
今回はHDMIケーブルのバージョンについて説明していきたいと思います。
HDMIバージョン一覧
現在HDMIケーブルのバージョンは以下のようになっています。
バージョン | 伝送スピード | 色域 | 色深度 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 165 MHz/ 4.95 Gbps/ 3.96 Gbps | SMPTE 170M BT.601 BT.709 | 24bit | 1080pに対応 |
1.1 | ドルビーデジタル・DTS音声伝送に対応 | |||
DVD Audioに対応 | ||||
1.2 | Super Audio CDのDSDビットストリームに対応 | |||
PCディスプレイへの出力をサポート | ||||
1.2a | 機器間の制御機能を追加(CEC(制御信号によるコントロール)) | |||
(ビエラリンクやブラビアリンクなどに使用されている) | ||||
1.3 | 340 MHz/ 10.2 Gbps/ 8.16 Gbps | SMPTE 170M BT.601 BT.709 sRGB xvYCC | 24bit 30bit 36bit 48bit | 1440pへの対応 |
Deep Colorに対応(オプション) | ||||
xvYCCに対応(オプション) | ||||
ドルビーTrueHDに対応 | ||||
DTS-HDマスターオーディオに対応 | ||||
LipSyncに対応(各機器のディレイタイムの調節) | ||||
Mini HDMIを定義 | ||||
1.3a | 機器間の制御機能を追加 | |||
1.4 | SMPTE 170M BT.601 BT.709 sRGB xvYCC sYCC601 AdobeRGB AdobeYCC601 | HDMI Ethernetチャンネル (HDMI HEC) を追加 | ||
オーディオリターンチャンネル (ARC) に対応 | ||||
3840×2160 (30p)、4096×2160 (24p) 解像度に対応 | ||||
sYCC601に対応 | ||||
AdobeRGBに対応 | ||||
AdobeYCC601に対応 | ||||
3D映像に対応 | ||||
Micro HDMIを定義 | ||||
自動車用接続システムを定義 | ||||
1.4a | 3Dフォーマットにトップアンドボトム方式を追加 | |||
2 | LEVEL A 600 MHz/ 18 Gbps/ 14.4 Gbps | SMPTE 170M BT.601 BT.709 sRGB xvYCC sYCC601 AdobeRGB AdobeYCC601 Rec.2020 | 2160p解像度 60Hzに対応 | |
アスペクト比21:9のフォーマットをサポート | ||||
1,536 kHzのオーディオサンプル周波数 | ||||
32オーディオチャンネル(4ストリームに分岐することを想定) | ||||
ダイナミック自動リップシンク | ||||
CECを拡張 | ||||
2.0a | 静的HDR (High Dynamic Range) フォーマットの伝送に対応 | |||
2.0b | HLG(Hibrid Log Gamma)フォーマットの伝送に対応 | |||
2.1 | 1.2GHz 48 Gbps/ 42.6 Gbps | 4320p(8K)解像度 60Hzに対応[11]DSC1.2(3倍圧縮) | ||
動的HDRフォーマットの伝送に対応 | ||||
可変フレームレートに対応 | ||||
拡張ARCに対応 |
引用元:HDMI – wikipedia
以上の表のように現在HDMIのバージョンは12種類あります。
バージョンが上がるごとに伝送スピードや、色深度、付加機能が増えていることがわかります。
4K解像度を転送できるHDMIバージョンは?
数あるHDMIのバージョンの中でもすべてのバージョンで4K解像度を転送できるわけではありません。
4K解像度を転送することが出来るバージョンは1.4以上からになります。
バージョン1.4以上でも転送できるフレームレートが異なっており、バージョン1.4では30フレームに対して、バージョン2.0以上では60フレームを転送することができます。
よって4K出力に対応したブルーレイプレイヤーやレコーダーとテレビを接続する場合はバージョン1.4以上のHDMIケーブルを、4K60フレーム出力に対応した機器を4Kテレビに接続する場合はバージョン2.0以上を使用して接続する必要があります。
※テレビ側が対応している必要があります
4K HDR 60フレームを転送できるHDMIバージョンは?
バージョンごとに転送できるスペックが異なることがわかったところで、徐々に主流になっている4K HDR 60フレームを転送できるHDMIケーブルのバージョンはどれになるのか。
4K解像度HDR情報付きで60フレームを転送することが出来るHDMIバージョンは2.0aからとなります。
ここで注意していただきたいのが、バージョン2.0aではなく2.0ですとHDR情報が転送できないという点です。
HDMIの公式規格ではHDR情報の転送に対応しているのはバージョン2.0aからとなります。
バージョン2.0では4K 60フレームの映像を転送することが出来ますがHDR情報は転送できない仕様になっています。
先ほどの表をご覧いただけるとわかるのですが、バージョン2.0aではとりあえずHDRに対応しました。
バージョン2.0aはUltra HD Blu-rayでの使用を念頭に策定されたバージョンで、基本的にはHDR10に対応しています。
家電量販店で見分ける場合は後述する「認証」を目安にしてください。
HDMIには認証がある
ここまでHDMIのバージョンを説明してきましたが、実は数年前からHDMIケーブルのパッケージにバージョンを記載することが禁止されました。
例えばバージョン2.0には2.0aと2.0bという細かい規格があるのですが、商品パッケージ上にバージョンが記載されていません。
よって家電量販店に行って「2.0aのケーブルください」と言っても「ありません」と言われてしまいます。
ではどうやって見分けたらいいのか?
現在HDMIは「認証」というものがあります。
これはHDMIを策定する団体が、条件を満たしたケーブルに対して与えるものですが、これが目印になります。
認証の種類
- スタンダード
名前の通りスタンダードなHDMIケーブルです。
転送速度5Gbpsに対応したケーブルで、フルHD程度までならこのケーブルで転送することが出来ます。
4Kなどの高解像度は転送することが出来ません。
Amazonなどのネット通販で商品名にバージョンを記載しているパターンもあるので、そちらを参考にしても良いです。
困ったらプレミアムハイスピード(Premium HIGH SPEED)認証を購入すればOK
なんだかんだHDMIケーブルについて説明してきましたが、バージョンや認証がいっぱいあるし、HDR方式?フレームレート?なんて聞きなれない言葉が出てきて頭が拒否反応を起こしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、接続する機器によって使用することが出来るバージョン、認証が細かく違うため、結局どれを選べばいいかわからないという方も多いですよね?
そういう方はとりあえず家電量販店やAmazonで「 プレミアムハイスピード(Premium HIGH SPEED)認証」ケーブルを購入すればOKです。
「プレミアムハイスピード(Premium HIGH SPEED)認証」は4K HDR 60フレームでの転送が可能で、認証相応のケーブル品質となっているため、とりあえず購入しておけば間違いありません。
特にUltra HD Blu-ray等でHDRを使用する場合は「プレミアムハイスピード(Premium HIGH SPEED)認証」がマストではないでしょうか。
8Kを楽しむならバージョン2.1 or ウルトラハイスピード(Ultra HIGH SPEED)認証
8K解像度のカメラ等をお持ちの方が8K解像度のディスプレイに接続して画像や動画を楽しむ場合はバージョン2.1を選択する必要があります。
2.1以下では8Kの転送に対応していない為、必然的にバージョン2.1を選ぶことになります。
先ほどおすすめしたプレミアムハイスピード(Premium HIGH SPEED)認証のケーブルは8K転送には対応していません。
8Kが必要な場合はその上位である「ウルトラハイスピード(Ultra HIGH SPEED)認証」のHDMIケーブルを購入する必要があります。
まとめ
HDMIケーブルのバージョンは策定当初からたくさん発表されてきましたが、細かいスペックなど消費者にとってはわかりにくいです。
そこで認証というHDMIケーブルをよく知らない人でもわかりやすく見分けることが出来るように表示が改良されたので今後は認証を気にしてHDMIケーブルを選んでいただくと良いでしょう。
これから4Kコンテンツは増加する方向で進んでおり、HDRコンテンツも増えていきます。
もちろん最低限のケーブルでも規格を満たしていれば映像は移りますが、ノイズ等で折角の映像が劣化してしまうことも珍しくありません。
よってこれから備えるのであれば少しコストはかかりますが現状ベストなプレミアムハイスピード(Premium HIGH SPEED)認証を受けたケーブルを購入することをおすすめします。
ケーブルもピンキリですのでメーカー品は少し高い傾向にあります。
しかしそれなりの品質は担保していると考えてよいので、そこは予算との兼ね合いで選んでください。
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