エッジ型?直下型?バックライト方式による映像の違いは?
現在発売されている液晶テレビも含めて昔から液晶というと、特殊な液体をガラスでサンドイッチしたパネルと光源であるバックライトを組み合わせた構造で作られているのはご存じでしょうか?
そして、液晶テレビ中でも「エッジ型」「直下型」と呼ばれる単語がでてきますが、これはバックライトの方式を示した言葉になります。
バックライト方式にはいくつか種類があり、それぞれメリットデメリットが存在します。
これからテレビを選ぶ際に、バックライト方式は重要な要素になりますので、それぞれがどのような違いがあってどのようなメリット・デメリットがあるかは是非覚えておきたいところです。
そこで今回は、大きく分けて2つある「エッジ型」と「直下型」の説明とメリットとデメリットをご紹介します。
また、記事の最後には、動画で説明したYoutubeリンクも紹介していますので、併せてご覧ください。
エッジ型とは?
まずは【エッジ型】と呼ばれるバックライト方式です。
エッジ型は液晶が出始めた頃から採用されている方式で、古くからある安定した技術です。
エッジ(edge)とは「縁や端」といった意味を持つ英語で、その名の通りバックライトを画面端に配置する方式です。
上下左右に蛍光管またはLEDによるバックライト用の光源を配置します。最近では蛍光管を採用している商品は少なく、ほぼすべてがLEDライトを使用しています。
下にエッジ型の配置イメージを載せます。
それではこのエッジ型のメリットとデメリットを説明してきます。
出典:TOSHIBA公式サイト
メリット
- 技術が確立されているため、比較的安価
- 端に光源を配置することで、薄型化し易くなる
- バックライト配置が上下左右で済むので、消費電力が少ない
デメリット
- 大雑把な制御になる為、黒色の部分はどうしても白みがかってしまう
- 画面全体が均一な明るさの為、明暗の大きな映像の場合全体がボヤッとしてしまう
- 導光板を使用して光が入るが、光源が端に配置されているため、どうしても画面中心部分の明るさが端と異なる
簡単にメリットとデメリットを挙げてみました。
それぞれ詳しく見て行きましょう。
メリット1つ目の「技術が確立されており、安価」というのは、初めに説明した通り、エッジ型は古くから存在し、技術が確立しているので比較的比較的安価に製作することが可能です。
2つめの「端に光源を配置することで、薄型化しやすくなる」というのは、後述する直下型と対称的で、端っこに付けるだけでよいので、テレビ全体を薄くできるということです。
今の時点でこのメリットがわからない方は、直下型の構造を見ていただけるとわかるかと思います。
3つめのメリットは単純な話で、端っこにしか配置しないので、消費電力が少なくて済むという点です。
これも後述する直下型と対称的な点ですね。
続いてデメリットですが、1つ目は「大雑把な制御になり、黒が白くなる」ということですが、例を出すとわかりやすいかもしれません。
例えばニュースなどで月を映した画が良く出ると思います。
月は大体画面真ん中に来るように表示されますので、そこに光を届けようとすると、月の周囲にある暗い部分にもバックライトの光が当たってしまいます。
この結果、暗い部分なのに光が当たってしまって白みがかった黒色になってしまうのです。
2つ目のデメリットに関しては、1つ目と少し似ていますが、エッジ型は画面全体を照らすことになるので、コントラストの必要な映像は、どうしてものっぺりとした映像になってしまいます。
先ほどの月の画を思い出していただくと、月だけを目立たせたいのに、周囲もうっすら明るくなってしまうため、メリハリのある映像が表現しにくいというところです。
3つ目のデメリットは、何回も出てきている端から光を入れるという話に関係します。
エッジ型は画面端から光を出していると説明しましたが、それはつまり真ん中のほうは光が減衰して暗くなりがちになるということです。
懐中電灯でもそうですが、手前側は非常に明るいのに対して、遠くは暗くなりますよね?
大雑把にはそれと同じ事象です。
直下型とは?
つづいて直下型バックライトを説明していきます。
直下型バックライトは「直下型」の名前の通り、エッジ型とは異なり、端からではなくパネルの真後ろに全体が光るバックライトを配置する方式です。
パネルの真後ろに均一に配置されたLEDを使いますので、エッジ型に比べてLEDの数は多いという特徴があります。
また、直下型の中には配置されたLEDを部分的に制御して、LEDの明るさに差をつける技術もあります。
これらは「部分駆動」「ローカルディイング」「エリア駆動」などと呼ばれ、高価なモデルに搭載されることが多いです。(記事下部におまけで詳しく書いています。)
それでは直下型のメリット・デメリットを説明してきます。
出典:TOSHIBA公式サイト
メリット
- 画面すべてのエリアを均一な明るさにすることが出来る
- 細かい範囲で柔軟な光量制御が可能
- コントラスト比を上げることが出来る為、メリハリのある画質を再現できる
デメリット
- 液晶パネルの背面にバックライトを配置しなければならない為、どうしても本体が厚くなる
- 画面全体に光源が配置されるため、消費電力が高い
- 部品点数が多くなる為、価格も高くなる
- エッジ型と逆で、画面端が暗くなりやすい
それぞれメリットとデメリットを挙げてみましたので、詳しく見て行きましょう。
まず1つ目のメリットですが、液晶パネルの真裏に均一にLEDが配置されたライト群を使用しますので、画面全体を同じ明るさにすることが可能です。
これはエッジ型と対称的な部分ですね。
2つ目は部分駆動・ローカルディミングなどに言えることです。
部分的にLEDの明るさを変えることで、映像と併せてよし臨場感のある映像を表現することが可能です。
例えばエッジ型で登場した月の画を思い出してください。
月の部分が映し出されている範囲の背面にあるLEDを明るくし、周囲の暗い部分のLEDを暗くすることで、より実際と同じような表現が可能になり、臨場感が増すということです。
3つめは、エッジ型に比べてLEDの数が多く、非常に明るい光を提供することが可能です。
液晶は、明るさがあればあるほどメリハリのある映像が表現できますので、エッジ型に比べてクッキリハッキリとした映像を見ることができます。
続いてデメリットです。
1つ目は、エッジ型と対称的な部分で、LEDを全体に配置したパネルを搭載しなければなりませんので、テレビ本体が厚くなってしまいます。
2つ目は簡単な話で、画面全体に均一にLEDライトを配置しますので、その分消費電力が上がってしまうという話です。
3つ目は、直下型が一時期高級機にしか付いてなかった理由でもありますが、構造が複雑になるためその分コストが上がってしまい、テレビ本体の価格が高くなってしまいます。
その代わり綺麗な映像を出せるというわけですね。
4つ目は矛盾していると思われがちですが、本当の端には配線や熱などの都合上LEDを配置することが難しくなってます。
よって画面端は輝度が下がりがちになります。
ちなみに以下の動画に直下型バックライトとエッジ型のバックライトの違いによる画質の変化が比較されています。
出典:Youtube REGZAチャンネル
違いわかりましたか?
長々とエッジ型と直下型の違いとそれぞれのメリット・デメリットを紹介してきましたが、ある程度イメージできましたでしょうか?
それぞれもちろんいい部分もあり悪い部分もありますが、現在では直下型が洗練されてきており、明るさなどのデメリットを克服して来ています。
コスト面も徐々に下がってきており、エントリーモデルに搭載するメーカーもありますね。
将来的にはほぼ直下型になるとは思いますが、まだまだ安価な製品の中にはエッジ型もありますので、テレビを選ぶ際に対象の商品がどちらの方式なのかを把握することも大事ですね。
個人的には直下型のモデルがおすすめです。
おまけ:部分駆動(ローカルディミング)とは
直下型のバックライトを採用しているテレビの中には「部分駆動(ローカルディミング)」に対応したものがあると説明しました。
先述では簡単にしか説明しましんでしたが、具体的にどういった動きをするのか詳しく見て行きましょう。
この技術は、画質に大きな影響を与える技術で、簡単に言うとバックライトの輝度を細かいエリア毎で制御を行う方法です。
もう少し詳しく部分駆動(ローカルディミング)について説明しましょう。
直下型バックライトは、液晶パネルの真後ろ全体にLEDが配置されています。
このLEDをある程度の範囲で別々に輝度制御を行うことによって、映像の黒色の部分は輝度を下げ、明るい部分は輝度を上げることが出来ます。
映し出される映像によってLEDの輝度を細かくコントロールすることができます。
細かく調節することによって2つのメリットがあります。
純度の高い黒を表現できる
1つ目のメリットは、液晶の弱点である「黒色」をしっかりと表現できることです。
液晶パネルは、バックライトを併用する都合上、真っ黒な映像でも少し「白み」がかってしまいます。
しかし、ローカルディミングで黒部分の輝度を下げることで「黒色」をしっかりと表現でき、他の色もしっかりと色が引き立てられて「引き締まった」映像を表現することが出来ます。
コントラスト比を高くできる
2つ目のメリットはコントラスト比を高くできることです。
コントラスト比を高くできることによってハッキリクッキリとしたメリハリのある映像になり、美麗な映像を映し出すことが出来ます。
部分駆動が可能な直下型LEDバックライトは、構造上どうしてもコストが高くなるため価格も高くなりがちですが、画質を求める場合は外せない機能です。
テレビと長く付き合おうと考えている方は、少し高くはなりますが、部分駆動が可能な直下型LEDバックライトが搭載されているモデルをお勧めします。
おまけのおまけ:有機ELパネルは「部分駆動搭載の直下型LEDバックライト」の凄いやつ
今急速に需要が増えている有機ELテレビを聞いたことありますよね。
液晶テレビと見比べると非常に美しく、メリハリの効いた映像であると感じると思います。
液晶が苦手とする「黒色」も本物の黒のように表現することができます。
これはなぜかと言うと、有機ELパネルは素子一つ一つが自分で発光する為です。
よって有機ELは、画面に何万とある画素一つ一つで輝度を調節することが出来ます。
例えるなら「部分駆動搭載の直下型LEDバックライトの凄いやつ」です(笑)
よって液晶テレビよりもコントラスト比や黒色の純度は比にならないぐらい高いです。
液晶と有機ELの差は、家電量販店で実際にご覧いただくとその違いが分かります。
バックライト Youtube解説動画
Youtubeでもバックライトについて詳しく説明しております。
ぜひ一緒にご覧ください。
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